ADHDとは?


☆ADHDについて

ADHDとは、Attention deficit hyperactivity disorderの略で、日本語では注意欠陥
多動障害と言います。
「病気」というよりは、むしろ、「治療や特別な関わり方を必要とする生まれつきの
体質」といえるものです。昔からこういう人はいたのですが、原因が
よくわからず、ただの厄介者、怠け者、あるいはだらしのない性格の人などと
思われていました。そして、そのように非難されることによって本人は傷つき、
落ち込み、却って本人の行動が悪化することもしばしばでした。

 ADHDの大きな特徴は三つあります。それは、注意散漫、多動性、衝動性です。

 第一の注意散漫であるということは、一つのことをやっていても、とても気が散り
やすく、次々と色々な行動を起こしてしまうということです。仕事をしていても窓の
外を見るととてもいい天気。こんな日は、ピクニックにでも出かけたいなあ、そうだ、
お弁当はたらこのおにぎりを持って・・・、おっと風が吹いてきた。外を歩いている
人たちが砂埃をかぶっているぞ、目に入らなければいいなあ・・・。「何をぼんやり
してるんだ」と注意されることがしょっちゅうあり、その度に、気を付けなくちゃと
思うのだが、なぜかいろんなことが気になってしまう。仕事いつも遅れ、物をなくす
ことが多く、机の中はぐちゃぐちゃ。能力はあるのに、こんな調子だから成績も今一つ
です。でも、好きなことをやるときは、すごい集中力を示します。集中できるときも
あるのに、何も出来ないこともあって、自分でも訳が分かりません。でも、こういう
ことはADHDの特徴の一つで、名前に「注意欠陥」などとあるから誤解されやすいのです。
ADHDでは注意を集中することができないのではなく、むしろ自分の興味のある分野に
対しては強い集中力を持って取り組むことができます。

 第二の特徴である多動性とは、あちらこちらとふらふら歩き回ったり、外へ飛び出して
しまったりすることでもありますが、それだけではありません。常に何かをいじって
みたり、貧乏揺すりをしたり、常にそわそわ体の一部を動かしていることが多く
見られます。
動き回らないにしても、とにかくじっとしていられないということもADHDの多動性の
表れです。

 そして、衝動性とは、何かしたくなったら、いてもたってもいられなくなる状態を
言います。会議中、出し抜けに答えてしまったり、順番を待つことが苦手で、時として
人の会話に突然割り込んだりします。

 このうち、多動の顕著なものは注意欠陥多動性障害( ADHD )、多動性の目立たない
ものは注意欠陥障害( ADD )と言います。症状が軽い場合、単に性向の問題
(「だらしない」など)として看過されやすいという問題があります。
あくまで”この範囲の症状をADHDと呼ぼう”ということであって、ADHD=1種類の
病気ということではありません。

 幼い頃からとても育てにくい子どもであることが多く、母親は自分の育て方が
悪かったのではないかと悩みます。感情の起伏が激しく、他人とのトラブルが多い。
怪我をよくするし、頑固でわがまま、聞き分けがなく、基本的なしつけがうまく
いきません。当たり前のことをやらせるのに毎日同じことを言わなければならないし、
また、いくら言っても身に付いていないようです。厳しく怒っても、叩いても、逆に
おだてても効果がないように見えます。母親は、ほとほと疲れ切ってしまい、学校では
「家庭のしつけがなってない」と思われます。

 しかし、ここに挙げたような事柄は、どの子どもにも見られることです。ですから、
もしかしたらうちの子もADHDかしらと思われる方もいらっしゃるかも知れません。
しかし、「2歳児の100%はADHDである」というジョークがあるそうですが、年齢や性別を
考慮して、慎重に診断しないと、正常な人までADHDと診断されかねません。アメリカ
精神医学会の診断基準がありますが、これも年齢や性別で基準を厳しくしたり緩和したり
した方が良いという意見もあります。

 最も重要なことは、ADHDが生まれついての神経生理学的な障害であり、本人の努力では
変えられない部分があるということを周りの人が認識するということです。また、
心理学的な側面からも対処していかなければならないのは当然ですが、もしその人が
ADHDと診断されていなければ、親子関係とか友だち関係などにおける純粋な「心理的
問題」として捉えられてしまいます。そうすると、全ての不適切な行動を心理的側面から
しか考えられなくなってしまい、大きく的を外れた対応をしてしまう危険があります。
この点に注意しなければなりません。マスコミでよく取り上げられる「自己チュー児」も
ADHDかも知れませんし、育児困難に悩んだり、我が子を虐待してしまう母親の中にも
ADHDの人が多く含まれている可能性があります。

 多動のあるタイプに注目されていたため、「男性に多く、大人になると症状が
緩和される」と考えられていましたが、多動のないタイプは女性に多く、注意散漫な
部分は大人になっても悩まされる場合が多いため、男女の発生率も同じで、
人口の5%を占めるのではないかと言われています。

 また、遺伝するため、ADHD本人の近親者にはADHDがいる可能性が高いです。






○診断について
 医師でなければ、ADHDであるか、そうでないかはっきりさせることはできません。
しかし、多動のないタイプについて認めていない医師や、大人のADHDを認めない
医師が多く、大人になってからADHDの診断を受けるのは困難を極めます。
なお、参考として、診断基準を載せておきます。

注意欠陥/多動性障害の診断基準 (DSM-IV、1994)

A.(1)か(2)があること。

(1)以下の注意力障害を示す項目のうち6項目以上が少なくとも6か月以上持続しており、それは日常生活に支障をきたし、
かつ、発達段階に不相応なこと。

注意力障害

(a)勉強や仕事、あるいは、他の活動時に、細かい注意を払うことができなかったり、ちょっとした誤り(careless mistakes)を
起こすことが多い。

(b)課題や遊びにおいて注意を持続することが困難なことが多い。

(c)話しかけられていても聞いていないことが多い。

(d)指示を最後まで聞けず、勉強やちょっとした仕事、あるいは、職場でのやるべき仕事をやり遂げることができないことが多
い(反抗や指示の理解不足のためではない)。

(e)課題や仕事をまとめることができないことが多い。

(f)持続した精神活動が必要な課題をさけたり、嫌ったり、ためらったりすることが多い(学校の授業や宿題など)。

(g)課題や他の活動に必要な物をなくすることが多い(例えば、おもちゃ、学校で必要な物、鉛筆、本、その他の道具など)。

(h)外からの刺激ですぐに気が散りやすい。

(i)その日にやることを忘れやすい。

(2)以下の多動性や衝動性を示す項目のうち6項目以上が少なくとも6か月以上持続しており、それは日常生活に支障をきた
し、かつ、発達段階に不相応なこと。

多動性

(a)手や足をよく動かしてそわそわしたり、椅子の上でもじもじすることが多い。

(b)教室や座っていなければいけない状況で離席することが多い。

(c)してはいけない状況で走り回ったりあちこちよじ登ったりすることが多い(思春期や成人においては、落ち着かないという主
観的な感情だけのこともある)。

(d)静かに遊ぶことが苦手なことが多い。

(e)絶えず動いていたり、駆り立てられたように動くことが多い。

(f)過剰に話すことが多い。

衝動性

(g)質問が終わっていないのに答えてしまうことが多い。

(h)順番を待つことが苦手なことが多い。

(i)他の人がやっていることをじゃましたりむりやり入り込んだりすることが多い(例えば、他の人の会話やゲームに首を突っ込
む、など)。

B.障害をきたすほどの多動性−衝動性、あるいは、注意力障害の症状のいくつかは、7歳以前に出現していること。

C.症状から生じている障害は、2か所以上の場でみられること(例えば、学校(あるいは職場)と家庭、など)。

D.社会的、学業上、あるいは、職業上、臨床的に明らかに支障をきたすほどの障害があること。

E.広汎性発達障害、精神分裂病やその他の精神病、その他の精神疾患(気分障害、不安障害、解離性障害、人格障害、な
ど)によるものではない。

※下位タイプ

合併型(Combined Type):診断基準A1とA2両方に該当するもの

注意力障害優位型(Predominantly Inattentive Type):

診断基準A1に該当するが、A2には該当しないもの

多動性−衝動性優位型(Predominantly Hyperactive-Impulsive Type):

診断基準A2に該当するが、A1には該当しないもの


詳しく知りたい方は、ふりーうぃんどトップページのADHDリングを見て下さい。



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